盆栽を構成する要素はいくつかあります。
あくまでも萬園的見解ですが、当店でのお買い物当店でのお買い物・鑑賞の際の参考になれば嬉しいです。
根張り(ねばり)
八方根張りが最も評価が高いです。
八方根張りとは根元から八方に広がっている根の事で、これを持ち込むと座になり、座がしっかりしていると見ていていいなと感じるでしょう。
根張りにより、落ち着き、鉢古さ、きちんとした管理、堂々とした感じ、空間を表現しているのです。
また、八方根張りを必要としない樹種もあり、真柏、杜松、梅など舎利がある樹がそうです。
このような樹種であっても、内側に引き根などあれば落ち着きが良く、空間がより良く埋められます。
小品盆栽や根張りの大きな樹は、樹の後ろにあまり根張りが大きくない方が好まれ、鉢ギリギリの根張りは凄みを増します。
同じ八方根張りと言っても根張りがゴツゴツした松柏、なだらかな雑木など見せ方は様々です。
良い根張りを作るためには、ただ時間をかけて鉢の中で、培養管理をさぼらずより良い環境で何十年も管理をすれば出来ることもありますが、たいていの場合は技術によるものです。
技術力で根張りを作ろうと思って作る場合
・取り木
取り木をすると同じ箇所から何本も根が出て、時間が経つと良い根張りができます。
・根継ぎ
根張りを良くするために根の必要な場所が明らかな場合は、根継ぎで根張りの足らない所に根を足していくという方法もあります。このようなストイックな技術、培養管理、時間によって良い根張りは作られているのです。
安価な樹で根張りの美しい樹は少ないです。良い根張りが有る樹はそれだけで貴重です。
また、山取りの樹はなかなか八方根張りにならないため、根の動きが幹の動きをより良く見せる場合があります。こういった場合、山味が良いと評価されることもあります。
根上がりの樹、石付きの樹は根の動き、流れを楽しみます。自然な動き、または若干動きが強いものが好まれるでしょう。石付きは石と根の隙間の無い、しっかりと付いているものが良いです。
巻き根、根元からぐるりと巻いている根、隙間のある根張りは残念ながら評価は低いです。
立ち上がり
根張りの次に立ち上がりを見ます。
腰が高かったり、元ゴケ(根元のほうが幹よりも細い)に見えたり、動きに厳しさがないものは評価されません。
根張りからの立ち上がりと言われるように盆栽にとってとても重要な見どころです。
根張りは根接ぎなどで改善出来ますが、立ち上がりは全く改善出来ません。その盆栽に一生ついて回る要素です。
逆に、立ち上がりが良ければ他に多少欠点があるとしてもそれを補うことができます。
幹の動き・コケ順
左右の動き、前後、奥行、上下の動きなど、自然をデフォルメした動きが好まれます。
また、松柏、雑木といった樹種による「らしさ」を表現するのに必要な要素でもあります。
根張りから樹冠に向かって徐々に細くなっていきながら動きもしっかりとあるものが理想的です。
この根張り、立ち上がりコケ順を生かして、枝の流れ、ボリュームが決まります。
元来、幹の動きは奥行きがあり前こごみの樹が昔から多く、良いものとされていますが、最近は前へのインパクトを見せどころにしている樹も評価されています。昔は鳩胸と呼ばれ嫌がられていました。
しかし、欠点ばかり気にせず、その樹の良い動きのところをより良く見せる事が大切です。
クイックな動き、味のあるなだらかな動きなど色々あり、好みの分かれるところでもあります。
こんなのは評価が低い
・途中間が抜けている。
・根張りからの立ち上がりで動きを止めてしまっている。
・根張りから天まで同じ太さだったりする。
・途中が太い幹。
枝・枝ぶり 懐(ふところ。幹の近くの事)、枝元から枝先に向かって柔らかく細くしていくのが理想的です。
幹に合わせた動きが必要で、柔らかく動いている幹には枝も柔らかく動かし、動きがクイックで激しい樹は枝の動きも強く幹の動きをより生かしていくように作ります。元来枝というのは幹の動きの良さを生かすものであるので、どうやったらこの幹の良いところを生かせるかをよく考えイメージしましょう。枝ぶり一つでその樹の樹格アップに繋がります。
良い枝ぶり
・基本的に二股になっている。枝分かれの基本は二股です。同じ箇所から枝が3本も4本もあってはいけません。柔らかい枝が作れずごつさが目立つようになります。
・上下左右に動きがある。
・枝が交差していない。
・幹をよぎっていない。
・重なっていない。
盆栽には右流れ、左流れがありますが、流れの方に枝を流すようにボリュームをコントロールしましょう。
流れと反対側の枝は締めて、流れを強調します。
幹の動きの強い樹はコンパクトに作らないと動きが隠れて特徴が無くなりますし、幹にたいして見どころがない樹はフワッとおおらかに、枝の柔らかさ、動き、華奢さなどを樹全体で表現すると良いでしょう。
あまりにもごつい枝があるならば、全て抜き、胴吹きさせて作り直します。
作り直せる樹種は時間をかければ何とかなるかもしれないですが、日ごろから枝作りには気を使い、理想的な枝ぶりを意識しながら作りましょう。
枝先のみで細かくなっていると枝先がごつく見えてしまいます。ただ枝先を細かくするのではなく、懐から流れ、枝分かれを作り、結果、枝先で枝が細かくなるのを目指しましょう。
時代・古さ
時代、古さは、盆栽には不可欠な要素です。主に樹肌の古さの事を指します。
枝のほぐれ、根張りなど鉢の中での持ち込みの古いものも時代と言われます。
それぞれ時代が乗るとその樹種らしくなります。
古いという要素はほかの要素(根張り、コケ順、枝ぶり、傷など)に多少欠点があってもそれを補い、見る人に盆栽の良さを訴えます。小品盆栽では古さが出来るのがだいたい30年位から。50年も経った樹はかなり古さが目立つようになります。中品、大物盆栽の黒松、赤松などでは50年は超えないと古さは出てこないでしょう。
・ニレケヤキ、イボタ、モミジ、楓などの荒皮性は肌が荒れやすいです。荒れやすいですが、通常のものより枝が作りにくいといえます。
・松柏では真柏、杜松は舎利の厚み、堅さで時代を見ます。山取りの樹と鉢や畑で作られたものはまるっきり別物です。舎利の年輪の細かさ等を見ると、過酷な環境で生きてきたであろうと想像させ、人には作れない動きをして、人には出来ない年数も掛かって、その樹の「今」があることがわかります。
・黒松、赤松の肌は五葉松よりも時代は乗りやすいです。一方、五葉松の肌に時代が乗るというのはかなりの年数がかかり、最低でも50年からというのが一般的です。
・雑木では梅、桜、バラなどは幹肌が荒れて、時代がついたのがわかりやすいです。梅では良い時代だなと思える樹は大抵80年ぐらい経っている樹です。
・モミジ、ケヤキはあまり肌が荒れることはないですが、肌が白くなることで古さを感じます。
・楓、カリン、ボケなどは樹皮が剥がれ、剥がれたところがの色が変わり、古さを感じます。
キズ
基本的に盆栽にキズがあるのは良くありません。丸幹で肌がきて、キズがないのが良い状態です。
でも、中には、キズがあっても嫌がられない樹種もあります。
真柏、杜松、イチイ、梅では、舎利、ウロを生かして樹の幹に流れを作るのに使われることもあります。
古来より、盆栽はキズとの戦いです。いかにキズを埋めてキズの無い樹を作るか、作り手は色々工夫を凝らしてきました。例えば、傷口にカットパスターなどの癒合剤を塗ったり、アルミホイル、軟膏を貼ってみたり、またはトップジンとワセリンなどを用いたりしています。
しかし、色々やってみても樹種、場所、環境によっては埋まらないキズもあります。
・キズが埋まりやすい樹種→モミジ、楓など
・キズが埋まりづらい樹種→ピラカン、ボケなど
・環境による樹種→イソザンショやハリツルマサキ、ガジュマルなどの沖縄地方の樹種は、沖縄ではキズは埋まるが、関東で管理していると、埋まりません。
・キズがある場所が頭の方は埋まりやすく、根元の方は埋まりづらいです。
キズが2,3か所、近くにあると繋がってしまうこともあります。
樹が若いときにアプローチをかけると大きなキズも埋まりますが、樹が古ければキズは埋まりづらいです。
また、大きな鉢に入れて枝を伸ばし、樹の勢いを上げれば埋まることもありますが、盆栽の流れも枝も使い物にならなくなってしまいます。
良い樹にはキズがないのです。つまり、それだけストイックに作られていると言えます。