基本的な培養管理の方法です。
お買い上げ後のご参考になれば幸いです。また、アフターサービスも行っております。お気軽にご相談ください。
水かけ
盆栽にとって、他の事をやらなくてもこれは欠かせないというほど重要なものです。
日当たり・風当りの加減、鉢の大きさ、土の質、樹の勢い、植え替えの年数などにより水をやる量、回数が変わります。もちろん、盆栽は量産品ではなく一本一本ちがうものですから、一本一本欲しがる水の量も変わってきます。何よりも、乾いたらたっぷりと水をかけることが重要です。表面、裏面はもちろん、鉢全体にたっぷりと、鉢の中を水が隅々まで行き届くことをイメージしてあげましょう。
また、乾いていなければ水をやらないことも大切です。ある程度土が乾かないと水を吸収するための根が伸びないからです。松柏などに水やりをするときは、葉にもかけると良いでしょう。ダニは水に弱いのでダニ除けになります。
春は植え替えたばかりなので、水も通りが良く水をかけやすいです。
夏は盆栽が芯から乾くのでたっぷりと、鉢穴からボタボタと水が垂れるぐらいかけることを意識しましょう。
秋は春から秋にかけて盆栽の根も生長しているので、思いもよらぬ樹が乾きやすくなっています。良く見て、さぼらず乾いていたらたっぷりとかけること。
冬、落葉樹は葉が落ち、常緑樹は気温が低くなり、日照条件によっても水をあまり吸わなくなるので水のやりすぎに注意することが大切です。しかし、表面が濡れていても中が乾いている場合もあります。
水やりをするかどうか迷ったり、乾き具合がわかりづらい時は、鉢を手で持って重さで判断するのも一つの方法です。
植え替え
基本的に2月下旬から4月に行います。目的は、新しい根を作らせることと水通りの解消です。
梅など根洗いが効く樹もあります。枝が出来上がっている樹でも根からほとんど土を取り換えます。細い根がだまになっていると樹の勢いが上がりません。
他の樹種も細かい根は気を付けて減らしましょう。細かい根が固まっていると水通りにむらが出来ます。
クチナシは5月末から6月上旬に葉刈りと剪定と一緒に植え替えも行います。強い樹なので割とラフな作業で大丈夫です。
植え替えの手順としては以下の通りです。
根をほぐし、整える。 まず樹を鉢に固定している針金を切り、鉢の縁に隙間を開けて樹を抜く。
次に、根張りを見るため、表面の根の際の土を取る。(掻き出す)
根別れを確認して、周りの土を取る。
底はなるべく平らに整える。
ほぐれて、飛び出してきた根は切る。
鉢持ち込みの古い樹は、太根などの根の処理がきちんとしてあるので、そのまま三分の一程度(周りのの根と底の根)を取り除いて新しい土にかえるだけでよいでしょう。
気を付けなくてはいけないのは、真柏などの山取りで、舎利が多い樹は効き根を切らないように注意することです。これを切ってしまうと枯れてしまうので根を取り過ぎないようにしましょう。
2.植え付ける。
穴止め、樹を固定する針金を植える鉢にセットする。
まずは、大玉の土を敷き、直接根の当たる部分は中玉、表面は小玉を用いる。
根と土に隙間のないように箸などで突き、しっかりと土を入れる。
3.植えつけたらたっぷりと水をやる。
鉢穴から出る水が透明になるまで水をやる。このときに微塵も一緒に流れ出す。微塵が残っていると、根が伸びるスペースがなくなるのでしっかりと流す。
雑木の葉透かしと葉刈り
枝を作るのに重要な作業です。ただ枝を剪定しているだけでは懐に日の光が入らずフトコロ芽が枯れてしまい、小枝も盆栽の表面だけになってしまいます。また、枝先が太ってごつくなり、良い樹は出来ませんそのような樹にしないために、フトコロに日を入れ、胴吹きを促し、枝先をごつくしないようにこの作業を行うのです。葉透かしは、春、葉が固まってから剪定とともに行います。このような目的を達成するために必要な量の葉を減らします。減らす量は、その盆栽の枝数、サイズ、樹種、環境によって変わります。楓、ケヤキは、年に4,5回、強く減らします。さぼるとすぐに結果に表れます。盆栽を良くするのには時間が掛かりますが、悪くなるのは一瞬です。また、この時、枝が見やすくなるので要らない枝も減らしましょう。
葉刈りは葉透かしと異なり、すべての葉を切り取ることです。葉透かしよりも抜本的に芽の数を増やしたい時に行います。葉刈りはどの樹種にも出来るわけではなく、リスクも伴います。例えば、芽が吹かない、葉刈り後の新芽が病気になりやすいといったようなものです。しかし、それを踏まえても葉刈りすると芽の数がかなり増えます。もちろん、不要な枝も剪定します。
萬園では、クチナシ(6月頃)、ピラカン(2月頃)は葉刈りします。今のところダメージは有りません。
葉切り
葉透かし同様に懐に日光を取り入れる、枝を太らせない、胴吹きを促すといった目的で行います。作業としては、ハサミで葉のサイズを小さくします。葉透かしと併用する場合が多々あます。
剪定(雑木)
春から秋にかけて行う作業で、一部の樹種を除き、新芽がある程度伸び、固まったら輪郭または、輪郭より少し内側で切り込む作業です。先端で芽がだまにならないように芽の数も減らします。グミ、ケヤキ、モミジなどは節が若いうちに剪定をします。この時に剪定をすると刺激を受け、細胞が固まり節が伸びないからです。また伸びたら剪定を繰り返します。来年、実や花を付けたい樹は6月以降の剪定は控えたほうが良いでしょう。花芽の準備をしているときに剪定をしてしまうと、花芽が枝芽に変わってしまうからです。このため枝作りと実や花を付けることは両立できないのです。秋の剪定は、一年間の培養の成果を確認が出来ると作業でもあります。落葉が始まるころ葉を刈り、枝を見て、ごついところを減らし樹の流れを崩す枝も抜き、柔らかい樹を目指します。ただし、これから冬の休眠期を迎えるので太い枝は切らず、太い根を切る場合は春を待ってから切る方が良いでしょう。枝作りは、枝芽を二又にしていきます。同じ箇所から2つ以上芽が出てそのままにしているとその箇所が太ってしまいます。手っ取り早く枝の込んだ樹を作りたい場合はそれでも良いでしょうが、本来の良い盆栽を作るときには、芽は二又(一か所からは二芽のみ)で作るべきです。
剪定(松柏)
黒松、赤松などの短葉法が有名です。春からたっぷり肥料を与え樹に勢いをつけておき、6月末から7月上旬に新芽を元から全て切り落とす方法です。この時、残った古葉の量が多すぎると新しく芽が吹くのに邪魔になるので、スカスカになるぐらい古葉も減らしましょう。萬園では、赤松から始め、次に黒松の順番でこの作業を行います。また、早く行った方が良い樹の条件として以下の事があげられます。
・樹が古い・枝数が多い・樹が大きい
他の松柏についてはまた各項目でご説明しようと思います。
針金掛け
松柏でも雑木でも針金掛けは盆栽を作るうえでとても大事な作業です。松柏でも松と杜松、イチイなどは針金を掛ける時期が異なります。黒松、赤松、五葉松の針金掛けの適期は、黒松の葉が固まる11月中旬から3月頃までです。なぜこの時期なのかというと、雑木の手入れが少ないことと、松は針金掛けに強いので冬にかけても負担が少ないからです。夏にも針金掛けは出来ますが、当園では雑木の手入れがあったり、新芽を傷つけてしまう可能性があるので、冬に掛けています。雑木の場合は、5月から9月頃まで掛けています。例外はありますが、冬に針金を掛けると春の芽出しが良くなかったり、枝枯れを誘います。針金掛けのコツ、注意点は、一般的に言われていることではありますが、次のようなことがあります。
・同じピッチで巻く。
・小手先で掛けるのではなく元の方から巻く。
・掛けた針金を交差させない。
また、枝を曲げるときは枝元から幹か、元枝に沿うように動きを同調させて曲げ、角度を付けていきます。そうすると自然な雰囲気で良い樹になります。針金を掛けるときはその樹の樹形全体を理解し、針金を掛けることによってどのような樹にするかのイメージをしっかりと作りましょう。そうすると、どのように針金を掛ければ良いか樹が教えてくれます。イメージが無い場合は針金を掛けない方が良いです。その場合は、それ以上伸びないように摘んでおきましょう。真柏は枝も柔らかく自由度が高い樹種なので、枝のない所に引っ張ってきたりしたごまかした樹が多く見受けられます。なるべくごまかさず樹の良いところをうまく引き出してよい樹を作りましょう。
接ぎ木
衣替えや枝の足りない所に接ぐなど頻繁に行われている技術です。真柏の枝接ぎが多いのは、真柏の値段が高いので技術者が一生懸命勉強した結果接ぎ木の技術が上がったのでしょう。ちなみに衣替えとは、すべての枝を接木して葉性を変えることです。大抵の場合は、折角、樹が古くなってきたのに懐に枝がない場合や、幹の動きは良いのに葉性が悪かったり、花が悪かったりする場合に枝接ぎをします。欲しいところに枝接ぎで枝が出来てしまうためB品でもA品になりうるので銘木が増えたのかもしれません。海外でも接ぎ木、衣替えは行われており、世界中で良い樹ができるでしょう。国風展に飾られている樹も枝接ぎしている樹が少なくありません。また、根接ぎと言って根張りの足りない所に根を接ぐ技術もあります。こうした技術のおかげで素晴らしい根張りの樹があるわけです。基本的に当園では枝接ぎは上手な人にお願いしております。
取り木
雑木の取り木は梅雨時に環状剥離で行います。秋か翌年の春に本体と切り離します。
真柏の取り木は根接ぎをしたりして行います。昔は一般的では無かったが、今では当たり前の作業です。腰が高かいといったようなネガティブな要素がある樹は取り木をするとそれが無くなるため樹格が格段に上がります。特に、真柏には必要な技術と言えます。
冬場の保護
冬場、当園ではビニールハウスで保護しております。小枝の出来ている樹は冷たい風に弱く、鉢の小さい樹は鉢の芯まで凍ってしまうからです。現在の盆栽は過酷な条件で厳しく管理されているのではなく、過剰に保護されて今までの限界を超える培養を目指しています。良い樹は恐ろしくストイックな意識で管理しないと枝枯れを起こしたり、キズが灼けたりとすぐにダメージが出ます。より良い管理をしていきたいですね。
日よけ
最近の夏は日差しが強すぎ、温度が上がりすぎるので、当園では五葉松、雑木類に軽く寒冷紗を掛けています。主に、小品盆栽ですが、中品から大物盆栽でも暑さに弱い樹もあります。樹も古くなると柔軟性が無くなるので私たちが思っているよりも保護が必要だと思います。昨年は何事も無かったからと安心せず、今年の事を考えましょう。炎天下では樹全体だけでなく鉢も根も温度が想像以上に上がります。自然の環境下より盆栽の方が過酷な環境下にあると言えるでしょう。
殺虫・殺菌・消毒
カビ、病気、虫などから盆栽を守るために行う大切な作業です。月に一回ほど夕方など気温が高くないときに行います。薬剤をかけるときはケチらずたっぷりとかけましょう。ユスラ梅など樹種によって薬害を受けることがあり最悪の場合枯死してしまうので気を付けなくてはなりません。当園では農薬の商社にブレンドしてもらい、目的を持ちながら消毒しています。また、冬の石灰硫黄合剤も有効です。安くて良く効きます。ただし、樹に切り傷や針金掛けた時に出来るヒビなどがあるとそこからしみ込んで枝枯れするので気を付けて、キズを避けて塗りましょう。それから、植え替えの時、癌腫病を見つけたら殺菌剤にしばらく根を漬けて殺菌します。アブラムシのような虫が根についている場合もあります。その時は殺虫剤に漬けましょう。植え替えの時、殺菌剤、殺虫剤をあらかじめタルなどに用意しておくと作業しやすいです。